ゴタンプロジェクトのエレクトロタンゴ、近年のZZKレーベルのエレクトリックフォルクローレといった音楽は、その国土着の文化にエレクトロが融合することで、文化が再発見され、過去と未来が行き来し、新たな化学反応を起こす。APの1998/Fujimusume は、エレクトロと日本の伝統音楽の融合を試みているが、先述の音楽よりも、もっと現代的というか今を表している音楽だ。淡々と繰り返されるビートに、日本人のアイデンティティとしての伝統音楽が、心の機微を表すかのように響く。日常で踊るちょっとドラマティックなアンビエントミニマルダンスミュージック。(オノダアツシ)